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ラストコップ 1話(エピソード1) 感想 [ラストコップ]

ラストコップTHE LAST COP) 1話(エピソード1/視聴率:12.9%) 感想あらすじネタバレ含む)
日本テレビと動画配信サイト『Hulu』がバディを組んで制作された刑事ドラマで、
ドイツで人気を呈した原作映画「DER LETZTE BULLE」(英題:THE LAST COP)をアレンジリメイクした作品
主人公の超人的身体能力を誇る刑事・京極浩介は1985年当時22才だったが、犯人の自爆に巻き込まれて30年間の昏睡状態に陥り、2015年に52歳になって目覚め、「浦島太郎症候群」に戸惑い・苦悩しつつも再び刑事として立ち上がる熱血情熱感動感激コメディドラマである


このepisode1(1話)のみ日テレ地上波の「金曜ロードSHOW!」2時間枠で放送され、視聴率は12.9%を記録
episode2(2話)以降は「Hulu」でのみ視聴可能
毎週金曜日更新で全6話


「長期間の昏睡状態から目覚めた刑事」という設定はドイツ版「DER LETZTE BULLE」より前に、
1990年のスティーヴン・セガールの映画「ハード・トゥ・キル」(Hard To Kill)の設定がかなり酷似している
あの映画はおそらくセガールの出世作じゃないだろうか
それからセガールが10年間大阪に住んでいて合気道の道場の師範だったことや、日本語(コテコテの関西弁)がペラペラな事などが知れ渡り一気に日米で人気が沸騰し、「沈黙の~」シリーズの長期化で最終的には自分自身も「沈黙」しなければならないような現状になっているわけではあるが


そんなスティーヴン・セガールの悲哀はともかく、「ハード・トゥ・キル」でセガール演じるメイソン・ストーム刑事は妻を射殺され自分自身も撃たれ7年間の昏睡状態から目覚めて、犯人どもに復讐する為立ち上がったストーリーだったが、7年間の昏睡状態でさえ元の肉体を取り戻すために凄まじいトレーニングを積んだり、お灸をしながら座禅を組んだりと「とりあえず東洋っぽいことしろ」みたいなシーンをあれやこれやと盛り込んで、その後にようやく復活し、犯人グループに単身乗り込んで、セガール映画らしい不自然極まりない圧倒的強さで敵を全員皆殺しにするというある意味凄まじい映画ではあった


また、もう1つ1993年にシルヴェスター・スタローンウェズリー・スナイプスサンドラ・ブロックなどが共演した「デモリッションマン」という映画があり、その映画でやはり「ジョン・スパルタン」という刑事役を演じるスタローンは犯人逮捕の際に人質30人を皆爆死させた罪(濡れ衣だったが)で「冷凍刑」といういかにもアメリカらしい刑罰に処され、70年間冷凍されその間は一切加齢もないという保管方法で保存されて、事情が代わり40年ほどで「解凍」され、2032年の近未来の変わり果てた世界に戸惑い、生き残っている娘にも会わずに終わるというほろ苦いラストではあるものの、全体的には終始一貫してB級おバカ映画であり、スタローン凋落の始まりだった


セガールスタローン・・・
京極が再三生卵を飲むシーンがあるがそれもスタローンの「ロッキー」の影響かもしれないがそれ自体が昭和
これはそんな2つの似たような映画のテイストも感じさせつつ、新たな要素も取り込んで作られたドラマに思える
一見、シリアスドラマかと思えるが、犯人と対峙しているようなピリピリしたシーンでもコミカル要素を挟むテイストのある作品で、肩ひじ張る事なくご家族で楽しめるおちゃめでおしゃまなドラマに仕上がっている
老若男女幅広くストライクゾーンを設定したドラマと言える


ドラマということを差っ引いても主人公の京極浩介という人物はいろんな意味で人間離れしすぎていて、もはやマンガやアニメのキャラクター並みであり、当然ツッコミ所はキリがない
・30年間も眠り続けていたのにすぐに動けた(フラフラにはなっていたものの)
・30年間も眠り続けていたのに目覚めるや否や意識も記憶もしっかりしている(一部はっきりしない部分もある)
・30年間眠り続けて52歳になったのに肉体的及び頭脳的衰えが全くない(脳も筋肉も使わなければ衰える)
・30年間眠り続けていたのにすぐに52歳として「アジャスト」して若者っぽさが消えている
・隣のビルへ10メートル以上は跳躍して飛び移ったりどう見ても人間じゃない
・そもそも22歳の若さで頭脳・体力共優秀なだけでなく「落としの達人」という年齢不相応な肩書まであり、さらに結婚して子供までいるとか、刑事になって何年なのかしらないけど22歳であれこれ成熟しすぎている
・・・etc
そんなこんなでもう半分マンガチックな超人キャラと考えるのが妥当
そう割り切らないと変にリアリティ求めたら頭がおかしくなっちまう(笑)


1985年当時と2015年の違いにも戸惑うシーンが多いのは当然だと思う
当時はタバコも吸えない男は一人前じゃないみたいな風潮があったような時代である
まして刑事なら尚更
タバコ吸わない刑事なんてあの当時はテレビで放送して受けないんだろう
その名残りかやたらタバコを吸うシーンが多い京極


近年は喫煙シーンを放送しただけでヒステリーめいたクレームが殺到する息苦しい時代
確かに副流煙は迷惑だし、未成年はテレビの俳優がタバコを吸えばカッコいいと思って自分も吸いたくなる
でも表現の自由の領域まで踏み入ってあれこれ言うのはどうかと思う
ジブリの「風立ちぬ」の一件は特にそう思わされた
ただ主人公が夕日の中黄昏てタバコを咥えてるシーンとか見るとめっちゃカッコ良く見えるのも事実なんだよね
でもそれは吸ってるのがイケメンだからカッコ良く見えるだけってことを子供たちは理解しなきゃいけないよ?


そして1985年当時は「セクハラ」・「パワハラ」・「モラハラ」などという言葉などなかった時代
セクハラはともかく、今だったらパワハラやモラハラで訴えられるような事も当時は当たり前だったんだろう
「殴られて一人前になる」なんて発想の職場もザラだったって言うし
また人権意識もこの30年で急速に高まり犯人に対する人権まで重視されるようになった
京極はつぶやく・・・「堅苦しい時代になっちまったんだなぁ」と
昭和男の豪快豪傑な性格の京極にはそれが息苦しく感じる


そんな京極の対照的人物として京極とバディを組み、さらに強引に部屋に住みつかれ共同生活を送る事になる後輩刑事・望月亮太が典型的な「現代刑事」を演じていて見事なコントラストとなっている
昭和の「肉食系男子」京極と、2000年代の典型的「草食系男子」亮太のコンビは性格面も正反対
猪突猛進型で、あれこれ理屈で考えずまず体を動かすタイプの京極に対し、
合理性を求め、そして常に慎重な亮太


振り込め詐欺犯の土田アキオの取り調べのシーン
そもそも1985年に「振り込め詐欺」やその前身の「オレオレ詐欺」という言葉や「コンプライアンス」なんて言葉もロクに使われていなかったわけで、京極は何のことかわからないまま「22歳の落としの達人」のまま犯人の自供を迫る
「田舎のおふくろさんが泣いてるぞ」→「もう母はいません」的なまるで吉本新喜劇のような流れ
そういえば昨年末京極を演じる唐沢寿明は新喜劇に出演して島田珠代に「チーン」ってされとりましたわ


1985年当時にはなかった「壁ドン」という行為をすれば、犯人にタバコを進めたりと、アメとムチを使い分けるやり方が京極流落としの極意のようで
そこまで昭和テイストで推すならかつ丼も用意すればよかったのに(笑)


とにかく京極に振り回される亮太を演じる窪田正孝がとても好演
可愛い可愛い言われてるのも納得だし、八重歯がとてもチャーミング
それでいて腕をまくればめっちゃ筋肉質な腕が見える
そのことは唐沢寿明も認めていた
元々窪田くんは大河ドラマの「平清盛」で清盛の弟の平重盛役という重役をあの若さで演じきった時点で素晴らしいと思っていた


今回の犯人「シーサー」の2人組を演じる安藤光輝(山崎育三郎)と五十嵐圭吾(鈴之助)は手ごわいようでちょっと油断しすぎというか詰めが甘い「ぬるい」犯人だった
自らが育った養護施設のシスターの話をされたくらいであっさり落ちかけていたし、正直京極を殺せるチャンスなど何度もあった
アクション映画やドラマの主人公は絶対に敵の弾丸が当たらないし、すぐに引き金を引けば殺されるシーンでもなぜかダラダラおしゃべりが始まったり、回りくどい殺し方を選んで逃げられたりとよくある話


このドラマの大きなテーマは京極とその家族の関係だろう
30年前まで京極は家庭を持っていた
京極は遅くとも20歳の時に2つ年下の18歳の加奈子(和久井映見)と結婚して、22歳の時点で2才になる娘の結衣が生まれていた
その結衣も32歳になってしまっていた
演じるのが27歳の佐々木希だから見た目は若いけど「実質22歳」の京極には「年上の女性(ひと)」だ


自分の娘が自分より10歳も年上になっていた・・・
こんな倒錯的な状況になったら人間はどうなってしまうんだろうか
だが京極は「実質22歳」であることを考えるとかつての後輩だった鈴木(宮川一朗太)だってずっと年上になってしまったわけだし、一番若い亮太でさえおそらく「実質年上」だ
そんな状況でよくすんなり気持ちを切り替えて彼らを「年下」と見て接する事ができるようになったと思う


30年前の22歳の京極を別の役者を用意せずに自ら演じきった52歳の唐沢寿明
22歳に見えるかどうかはともかくどう見ても52歳には見えない
少なくとも20代後半ということなら十分通るあの若さは特殊メイクなのか何なのか
でも唐沢寿明本人が元々50代とは思えない若々しさを保っているのもある
そして元スーツアクター出身の身体能力もあり、今でもしっかりアクションシーンをこなせる
日本で一番若くて動ける52歳なのかもしれない


五十嵐との激しい格闘シーンや、安藤をKOしたライダーキックは本当に素晴らしかった
唐沢寿明自身が仮面ライダーライダーマン)のスーツアクター経験者だったことが生かされたシーンだろう
フォームも特撮そのまんまって感じで美しかった・・・


20歳の加奈子を演じた和久井映見も素晴らしいと思う
まだ40代前半なのに50歳の役を演じさせられババア呼ばわりされ可哀想にもなるが
普通に考えればあんな若い50歳いたらすごいと思うけど
彼女も京極が突然復活して戸惑っている
そして京極の後輩である鈴木と結婚して実の父は彼だと娘の結衣に伝える苦悩は想像に難くない
この部分をカミングアウトするかどうかも今後ドラマのポイントになると思う


そして京極の元バディ(相棒)であり、現在は警視正にまで出世した佐野史郎演じる遠藤勇二
もう最初の登場の時点で30年前から続く事件の黒幕っぽいのが露骨
でもここまで露骨だと逆にこれはフェイクかなとも思える
佐野史郎は2年前の三上博史主演のWOWOWドラマ「震える牛」でも同じようなスタンスの黒幕を演じていた
今回も同じなんだろうか・・・


30年前にカグラの黒装束野郎が自爆する際に語った「本当に疑うべきは・・・お前の・・・」というセリフ
現時点じゃこれも遠藤の事を指しているとしか思えない
でもこれじゃあまりにも直球すぎると思うんだけどね


とりあえず、今回は30年前との文化の違いがいろいろ面白かったかなと
斉藤由貴のアイドル時代があんなに透明感のある美少女だったとは見てて驚き
その斉藤由貴の「スケバン刑事」、マイケル・J・フォックスバック・トゥ・ザ・フューチャー)、おにゃんこクラブコマネチも何にも知らない亮太
いくら生まれる前のものだからってコマネチバック・トゥ・ザ・フューチャーくらいは一般常識として知ってそうだけど(笑)


逆に京極はケータイ電話も知らない
そのケータイだって20年前に普及してこれまで様々に進化してモデルチェンジして今のスマホに至っている
1985年当時でも携帯電話やパソコン通信もあるにはあったようだけど使ってるのはごく一部だった
テレビは一家一台、ファミコンが出たばかりでwiiUも3DSもプレステ4もPSVも何もなかった時代
まだ男たちは“自由”に憧れ、まだ女たちは“やさしさ”の時代だった
何もなかったけど・・・何でもあった時代からやってきた男・・・


ラストコップTHE LAST COP) 1話(エピソード1/視聴率:12.9%) 感想あらすじネタバレ含む)は以上


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