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震える牛 最終回 感想 [震える牛]

震える牛 最終回 感想(あらすじネタバレ含む)
キャッチコピーの「企業の嘘を、喰わされるな」というヘッドラインからして本当に「際どい」作品でしたね
スポンサーありきの民放だったら絶対ドラマ化できなかった内容ではないでしょうか
ここまで果敢に切り込んだ相場英雄先生とWOWOWの英断には賛美を送りたい気分です
主演の田川信一を演じた三上博史の熱演も本当に光っていて感動モノでした


それにしても本当に「際どい」作品です
そもそも作中に登場する「ミートホープ」はほぼ「そのまんま」なんです
つまり同名で北海道に実在し全く同様の食品偽装を行っていた会社なんです
この会社の経営者が肉の事を知り尽くした「天才」と呼ばれていた点なども八田(古田新太)そのまんまです
そしてドラマ同様不正競争防止法違反(虚偽表示)と詐欺の罪で逮捕され会社も破産し解体されました
小松(温水洋一)を思わせる人物の内部告発から偽装が明るみに出るなどの経緯も似てます
現実にはネットメディアではなく朝日新聞が告発してくれたおかげで世に明るみに出た形ですが


またオックスマートも明らかに某スーパーチェーンがモデルであることもわかります
原作・ドラマ共によくクレームなしで公開まで実現したものだとこっちがヒヤヒヤするほどです^^
民主党から自民党に政権が交代したこともちょっとは関係あるのかな


とにかくこのドラマは「社会派の中の社会派」ドラマです
こーゆー骨太なドラマを今後もどんどん生み出してほしいものです
三上博史と社会派ドラマの相性も抜群ですね
三上博史の社会派ドラマではTBSで10年くらい前に放送された「taskforce(タスクフォース)」が最高でした
日本企業の危機管理・産業スパイを扱った作品で、民放用アレンジで若干リアリティは欠如してましたが


最終話のストーリーとしては、逮捕された柏木信友(平山浩行)が赤間(本田大輔)と西野(橋本さとし)の殺害は女優・サエコ(白石美帆)を巡る痴情のもつれであると取調べでも証言
オックスマートも記者会見を開きそれに準じた虚偽会見で頭を下げる父・柏木友久社長(小野寺昭)・滝沢(小林薫)ら取締役陣
全く中身もなく、ありがちな定型文を読んでるかのような会見に終始


捜査から外され失意の状態で田川がその会見をうつろな目で見ている
髪もボサボサでくたびれた感じを演出し三上博史特有のあのうつろな目がまた逆にセクシー
鶴田(吹石一恵)は田川に「組織に負けるんですか?」と叱責する


一方警視庁では宮田(佐野史郎)と矢島(羽場裕一)が話をしている
宮田と滝沢はオックスマートが都内一号店を出店する際に暴力団から嫌がらせを受けていて、
それに対応した時からの縁だとのこと
会話の中で矢島は宮田が想像以上に腐っている事を知り驚愕する
陰険で性格悪そうな男だが矢島の正義感と警察官としての矜持が揺らいでいる瞬間


捜査から外され失意の田川は倒れた父の見舞いに病院へ
「どんなに時代が変ったって変らないものがあるんじゃないか?オレがあそこ(商店街)にいる意味だってきっとある」と父に告げられ、田川はまるで「お前はどうなんだ?」と言われたように感じる
娘の梢(木村文乃)にも「何があったかもう聞かない。でも、まだ終わってないなら最後までちゃんと捜査して」と叱責される


「警察・・・クビになるかもしれないぞ」と娘に告げる父
「そんな顔しているお父さん見てるよりずっといいよ」と返す娘


父親と娘からの言葉で田川はまた捜査に戻る事を決意
警察内部では上層部からの圧力でBSEの鑑定は取り消された
田川は鶴田にどこか秘密性の高い専門機関での調査を依頼する


宮田は田川にもうこの一件からは手を引くよう諭す
田川は表向き「わかりました」と答える
宮田も安心したような表情を見せる
しかしやはり宮田は田川のことを良くわかっている
田川がまだ動いている事を感じ滝沢に注意するよう連絡を入れる


滝沢はミートホープとの契約を切る事を田川に告げる
そのミートホープでは八田が偽装肉の試食をしていた
腐りかけの肉や過度の食品添加物に動物の血液など有害なものも大量に含まれた偽装肉
ちゃんと自分で口にしているんだなと思った
知っていたらとても口にできるシロモノではないが・・・


滝沢はミートホープの偽装報告書を作成するよう部下の加藤(田中幸太郎)に指示
それを元に脅迫してでもミートホープとの契約打ち切ることを告げる
加藤は「今度はウチが八田を脅すんですか?」と躊躇い滝沢への忠誠心が薄れ始める・・・
恋人の梢にもそのことを指摘される
「今あなたが信じてる滝沢さんは、あなたが付いていこうと決めた滝沢さんなの?」と問われ返す言葉もない・・・


田川は矢島にミートホープ関連の一連の偽装の証拠を提出する
不正競争防止法違反(虚偽表示)の容疑でオックスマートへの強制捜査を求める
矢島はこのことが宮田に知れたら懲戒処分になりますよと田川に宣告
「これまでの警察官人生を捨てるつもりですか?」と問う矢島
田川は「組織への誇りを失うよりマシですよ」と返す


ついに矢島はオックスマートへの強制捜査に踏み切ることに
生活安全課とも連携を取っての極秘チームを結成する
これが失敗に終われば田川だけでなく矢島もタダでは済まない勇気ある決断だ
陰険で慇懃無礼な矢島だが正義と警察官としての矜持だけは持っていた
田川の再三の説得も効果的だったんだろう


滝沢はミートホープを訪れ八田に契約解除を求める
ミートホープの偽装証拠書類を突きつけ解除に応じなければこれを公表すると脅す
すると八田は「奥の手」を出す
滝沢の企画部長室に仕掛けた盗聴器で長年盗聴を続けて記録していた八田
これにより八田はオックスマートの取引先でBSEが発覚した事を知っていたのである


それにしても長年毎日毎日膨大な会話を盗聴してチェックし続けるのも随分根気の要る作業だと思うが
他に仕事もある身なのに
これで滝沢はミートホープとの契約を切れなくなった


企画部長室で盗聴器を発見する滝沢
応接テーブルの下に取り付けられていたというありがちなオチ
長年そんなところを調べないでいるのも不注意すぎる気がするが・・・


さらに滝沢に宮田から強制捜査が入る情報がもたらせる
滝沢はミートホープとの関係書類と製品を全て破棄・隠蔽するよう加藤に指示を出す
加藤は「今の電話・・・警察からですか?ずっと警察から情報貰ってるんですか?」と滝沢に問う
本当は警察はBSEのこと知ってるんですか?(知ってて警察も隠蔽に協力してるんですか?)」と続ける
「会社の為だ」と答える滝沢


加藤は恋人が田川刑事の娘であり、留学先で友人の父親がBSEの被害に合った事を伝える
「滝沢は信念(良い肉を消費者に届けたい)を持っている思ったから付いてきたのに・・・」と嘆く
滝沢は加藤を「もういい、お前はもう外れろ。この件も忘れろ」と突き放す


田川に鶴田からBSEのDNA鑑定検査の結果、劣化が酷くて判定が不可能だったと告げる
決め手となる証拠を得られず絶望的な田川
しかし加藤から田川に連絡が入る
強制捜査の情報が滝沢に漏れている事、食品偽装の証拠は全て隠蔽される事を告発する加藤
加藤は滝沢を尊敬していたと泣き出す・・・


その夜、オックスマートの店舗では着々とミートボックスの製品・在庫を全て撤去させる滝沢
店舗の外で佇んでいる滝沢に田川が会いにくる
BSEの証拠も得られず、強制捜査の情報まで漏れてしまい万策尽きた田川
滝沢の「情」にしか訴えるしかなくなった状態
それを見越して「泣き落としですか」と返す滝沢


田川は父の電気屋の話をする
近くに大型の量販店が出来て倒産寸前だと
父に「時代の流れ」だと告げたものの、大型店舗が会社の事だけを考えて闇雲に町や商店街が壊れていくのを果たして「時代の流れ」のせいだけにしていいのかと悩んでると告げる
滝沢は「商売は自由競争という名の殺し合いですよ。我々は生き残らなければならない」と返す


田川は「誰の為に生き残るんですか?」と返す
反論ができなくなったタッキー
柏木社長と滝沢が小さなワンボックスカーで団地を回っていた頃のオックスマートはちゃんと「客」が見えていたが、今はもう「客」が取り残されてその姿見えていないと田川は諭す
「滝沢が今やっていることは“本島の意味”でオックスマートを守ることになるのか?」と告げると滝沢は去る・・・


警視庁に戻った田川
矢島はBSEの証拠も得られず強制捜査の情報も慈善に漏れた事を知りつつも、
生活安全課まで巻き込んだ以上もう後戻りはできないと悲痛な覚悟
「これが空振りに終ればあなたも私も終わりです」と・・・
強く頷く田川


一方、滝沢はイスにもたれかかって思案に暮れている
田川の言った「あなたのしていることは“本島の意味”でオックスマートを守ることになるのか?」という問いが心に刺さりまくってかなり効いてる状態・・・


そしてついに夜が開け強制捜査の日
田川達はオックスマート本社・店舗に踏み込む
しかし前日までにミートホープとの関係は全て隠蔽され当然ながら何も証拠は上がらない
矢島は「仕方ない・・・撤退して下さい」と指示を出す
そこに滝沢は田川にある倉庫の鍵を渡す・・・


矢島の元に宮田が「残念だったな」とやってくる
刑事部長にこの件を上申しておいたとのこと
そしてこれからこれから田川の懲戒処分の上申をするとのこと
勝ち誇る宮田
しかし矢島は「辞めるのはあなたですよ」と返し驚愕して振り返る宮田


滝沢が渡した鍵は別会社の名義で借りている冷凍倉庫
昨日隠蔽したミートホープとの関係書類・製品全てが運び込まれていた
ついに食品偽装の証拠を手に入れた田川


滝沢は社長室で柏木社長に陳謝
「このままではオックスマートは社長が思い描いていたものとはかけ離れたものになっていく。全てここでリセットして1から出直すのがオックスマートの為だと思います」と本心を告げた滝沢
涙ながらに土下座して「長い間お世話になりました」と滝沢
柏木社長は何も語らず・・・ここはちょっと何か一言でいいから話てほしかった・・・


出頭する滝沢
見送るか加藤に「社長を頼むぞ」と告げる
オックスマートを愛するが故に、愛故に自ら犠牲になり、オックスマートの様々な「膿」を取り出す形となった


その最大の「膿」であるミートボックスも当然捜査の手が入る
次々と運び出される偽装肉と証拠物件
逮捕され連行される際も悪態をつきまくる八田


増渕牧場にも田川達が向う
増渕要三(竜雷太)も孫のサエコも観念して連行される
2人の殺人に手を染めた柏木信友も観念した表情でついに「はい、(BSE隠蔽は)全て事実です」と認めた


小松も無事救出される
涙ながらに喜ぶ鶴田
警視庁では宮田が放心状態で佇んでいる・・・


一体いつからだろう・・・経済が一人歩きして消費者が忘れ去られていったのは・・・
大きな商業施設に行って、豊かなつもりでいた
でもそれによって人と人との触れ合いが薄れてきているのではないだろうか?
信頼できる物を、信頼できる相手から買う
そんな単純な、だが素晴らしい関係をもう一度見直す時が来たのかもしれない・・・


父の退院の日
「大袈裟だよお前まで」と言われ「素直に喜べよ」と返す田川
商店街仲間が迎えに来てくれる姿を見て人と人との触れ合いを再認識するシーン


梢はオックスマートを辞めないと父に告げる
オックスマートが元に戻るよう手伝いたいと娘
「うん、頑張れよ」と娘に告げる父はとても良いシーン


そこに鶴田から連絡が入る
小松はネカフェ生活から抜け出して妻や子供の元に戻ったとのこと
鶴田の記事を読んだ田川は「いい記事だった」と告げる
「田川さんのおかげです」と返す鶴田
「じゃ・・・また」と去ろうとする鶴田


田川「これからウチに来ませんか?」と鶴田を誘う
父の退院祝いと田川が事件解決時に恒例となっているすき焼きパーティーだ
牛肉にまつわる様々な問題を扱ったあとだけに「すき焼き」と聞くとちょっと構えてしまう状態ではある
しかし鶴田は「喜んで」とお招きを受ける
鶴田と梢はどちらも「食の安全」に信念を持っているからきっと意気投合するんだろうなぁ


そして田川の自宅に向ってあるいて行く二人
そこにサラ・ブライトマンが歌うオペラの有名なアリア「私を泣かせてください」が流れるラスト
なんとも叙情的な雰囲気で終わりました

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最終回にはありがちですが、最後はちょっとバタバタいきすぎて飛ばし気味でしたが、
最後まで全く飽きさせない素晴らしい最終回でしたね


もちろん、滝沢の土壇場での改心はさすがにご都合主義すぎるし、
現実にはあんな「おとぎ話」はまずないでしょう


ただ、滝沢が改心するまでの経緯などはしっかり描かれていたし、
滝沢がそれだけオックスマートを愛していたこと、
そして人知れず赤間の命日に献花をしようとしていたことなど本当は悪人ではない部分もしっかり描かれました


一方、完全な「ヒール」側として描かれた八田
盗聴までしていたのは驚きでしたが最終回はちょっとあっさりしていて毒気が少なかったように思えます
小松を殺さず生かしていたことや、裏切りに手を貸した危険分子である阿部(遠山俊也)をそのまま恩赦したりと結構詰めが甘いのか悪魔になりきれてないのかそのあたりが曖昧な人物でもありました
ベクトルは違うとは言え「安くて美味しい肉」を消費者に届けたいという思いは、
自分自ら試食して「美味い」と認めているなど真摯な姿勢だったのかもしれませんね
とは言えやってることは到底容認できませんが・・・


とにかく何より主役の三上博史が素晴らしかった
もうカッコよくて切なくて扇情的で最高でした
ファンとしてまたその素晴らしさを再認識できた作品でした^^


以上、震える牛 最終回 感想(あらすじネタバレ含む)でした
危険な問題作でしたが、本当にありがとうございました


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