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なるようになるさ 最終回 感想 [なるようになるさ。]

なるようになるさ。 最終回(第11話) 感想(あらすじネタバレ含む)
長島家に転がり込んできた奇妙な3人の「悩める子羊たち」との共同生活もついに終焉の時がやってきました
「ファンタジー」や「おとぎ話」の世界と思えてしまうほどお人よしの長島夫婦
こんな夫婦が現実に存在したらどんなに素敵な世の中だろうと毎回楽しい想像をしてしまうドラマでした
でも現実に赤の見ず知らずのどこの馬の骨状態の他人にここまでしてくれる夫婦などいないのかもしれません
素敵な世界があってほしいけど・・・
あんまり現実的でないから・・・
好きな歌を歌う・・・


長島家に来て心の安定と立ち直りのきっかけを得る事ができはじめた陽子・昇・恵理の3人
このささやかな幸せがいつまでも続いたらと願う3人
しかし「かぼちゃの馬車」が元に戻る時が3人それぞれに刻々と近づいてきていることが前回から徐々に暗示され始めました
そしてついにこの最終話で「その時」がやってくるわけです


前回くらいから陽子はカリスマ家庭教師のアリtoキリギリス石井から露骨に「もう少し時間があれば今年度の高認試験合格も夢じゃない」と遠まわしに仕事をやめて勉強に専念するようチクチクされ始めていました
しつこいくらいに「いつやるの?今でしょ!」を多用するドラマだしこの役は林先生本人でも良かったのでは
なぜか自分だけそうめんだかひやむぎを貪りながらあまり意味のなさそうなホイッスルを駆使して指導する石井
優秀な・・・指導者なんでしょうね・・・


しかし実際今年度中に合格すれば陽子は1浪年齢で大学に入れます
大学全入時代に入って久しい現在では1年であっても浪人自体がデメリットな時代です
まして女性なら尚更
それだけに来年度以降となると陽子は2浪以上になってしまいます
このドラマと違って世の中は綺麗事ばかりじゃあない
女性で2浪以上してまで大学に入り年下の同級生たちと楽しいキャンパスライフを送る事は決して簡単ではない
大学全入時代で浪人自体が少なくなった上に、過去に少年院入りしたという傷まで負って(それを明かすか明かさないかにもよるけど)の状態であれば尚更です
まして陽子はまだ人間不信から完全に立ち直っていないだけに大学に行っても孤立する可能性は高いでしょう
そう考えるとアリキリ石井が今年度中に大学進学を目指すことを求めるのも確かに道理


ただ、陽子は大学進学よりむしろ好きな(のがバレバレな)昇の背中を押す事が目的で勉強を始めたわけで
ガツガツ大学進学を目指すというより寧ろ「カフェレストランあや」でずっと働いていたいのが本音でしょう
長島家は陽子にとってそれだけ居心地が良かったし惚れた男(昇)もいる理想郷(ユートピア)でもあるわけです
2浪以上してまで大学に行くくらいなら好きなコトを見つけてその資格の専門学校行く道の方が良い気もします
昇の東大卒のこともやたら強調するドラマですがいくら東大卒でも仕事を投げ出して引きこもる性格では・・・
設備投資を控えまくりなこのご時勢にそんなすぐ心が折れるような弱い人をほしがる企業があるとは思えません
どうもこのドラマの学歴至上主義は橋田先生の作風なのかわかりませんがちょっと無理がある気がします
僕も雇用する立場の人間になりましたが昇みたいなタイプはどんだけ学歴が優秀でも「アウト」です
昇も昇で企業からイラスト業で正社員になるよう求められていましたが「雇われはもういやだ」と拒んでましたね
会った事もない人物に正社員雇用の話を持ち出す大手企業があるとはいくらドラマでも唖然としましたが(笑)


そんな昇ですがまさにドラマと言うべきご都合主義的にイラストの才能がシンデレラの如く開花し、
ついに新聞1面広告にまで起用するほどにまでなったとんでもないサクセスストーリーに発展しました
デビット伊東の尽力もあり3人の中で最も「長島家卒業」の必要性が出てきた状態です
デビットも「もうこれからはここで働きながらできるような仕事じゃない」と強く昇に言うようになります
イラストに専念しなければいけない状況になってきました


そして前回で昇の両親もついにその新聞広告で昇の存在を知る事になります
いくらなんでもイラストを見ただけで昇かどうかなんてわかるわけないだろうと思ってましたが、
以前似たようなイラストを昇が描いていたのをあめくみちこが見ていたということでうまくこじつけましたね(笑)


みちこは「イラストなんて男のする仕事じゃない!何の為に東大まで出たんだ!」と反発するかと思いきや・・・
意外にも「好きな事で生活ができるようになったならこんなに嬉しい事はない」と全肯定状態
元々昇が長島家にどっぷり浸るのを嫌がっていた邦はもうこれで昇の居場所を隠す意味がなくなりました・・・
ついにみちこを独断で長島家に連れてきた邦
みちこは涙を流しながら昇を褒めてあげたわけです


そしてピン子は今回ついに父の金田明夫まで長島家に連れてきちまいます
「好きにさせてあげなさい」と言いながらも実は一番寂しくて一番帰ってきてほしかったのは明夫でした
明夫は昇の手を握り「帰ってきてくれないか?」とすがりつきます
しかし超・優柔不断人間の昇は当然煮えきらず回答を保留
帰宅後その様子を聞いた大悟は歯を磨きながらも「いろいろ」考えているようで・・・


陽子も陽子でついに母の克子が再登場
こっちは昇の両親と違って関係修復が極めて困難そうでしたが、
不幸中の幸いか父の野村宏伸演じる耕造は陽子の理解者でした
しかしこの母の克子とあの最低の姉弟がいる家庭に陽子が戻る事はかなり困難に思えます
克子は時おり陽子を思うそぶりも見せてはいましたが基本は自分の主張を押し付けるだけの母親でした


それが今回は何の心境の変化があったのか最終回だから仕方なくなのか妙に物分りの良い母になって登場
以前来た時には「こんな店で働いたって何になる」と“オーナーシェフ”である綾の前で言い放つ傍若無人ぶりだったのが、こんなに人格が変わるほどの性格改善できるものなのかと不自然なほどでした
ついに陽子の事件の主張までずっと信じないで陽子のせいにしてきたのを翻意して、陽子の言う事を信じるとまで言い、演じる有森也実の持つ本来の気品の良さのようなものをかもし出した雰囲気になってました


受験勉強に専念する時間が求められる陽子と、イラストの仕事に専念する時間が求められる昇
利害関係を考えれば、家に帰る決断をするしかない状況に固まってきました・・・
陽子に関してはあの姉と弟がまだいるだけに戻ってもどうなるかわからない部分もありますが両親は味方です


そして一番問題が深刻な恵理
母子共に預かるという最も「重い」責任をあっさり受け入れてしまう大悟の現実離れしたお節介ぶりと軽さには最初は「金持ちの道楽」と思って眺めていましたが、これも大悟が「父親」を演じたかった願望からなのかと思うと納得できる部分もあるような・・・それでいて無理があるような複雑な思いで見ていましたが
しかしついに誠の前に「本当の父親」であるDV男の正夫が前回から現れたわけです


なんとあれほど必死に口止めしていた友人の由美子が結局バラしてしまったというオチ
思えばこの由美子は誠にも恵理の居場所を教えてしまったりと結構「口が軽い」性格です
恵理や恵理の家族の為を思ってのことではあるんでしょうが、
今後恵理はもう二度と由美子には秘密を話さないことでしょう(笑)
「結局全部喋ってるじゃーん!」な由美子ちゃん(´・_・`)


正夫が現れた事で恵理は心を取り乱します
突然この仕事を辞めて荷造りして長島家を出て行くと言い出す恵理
ラブ・ストーリーは突然にって感じ?
思えば最初の土下座してまでの採用志願など落ち着いた常識人に見える恵理ですが切羽詰ると極端な行動に出る性格なのは相変わらずです
あの“土下座志願”は邦もドン引きして手で断るように綾にブロックサインまで送ってましたよね(笑)
とは言え演じる紺野まひるは「幸薄い女」役がすっかりハマるような女優さんになってきましたね
木村多江といい勝負みたいな感じで


そしてついに大悟と正夫が対面
正夫は過去のDVを反省しつつも、ハローワーク通いの時に仕事が決まらなかった正夫に恵理が冷たい目で対応した事などDVの発端は恵理の態度にもあったことを示唆する発言をし、大悟もそれを悟りました
「大きく悟る」と書いて「大悟」だけに悟りを得るのは早いようで
悟りの境地ですかね
サトラレ


そして正夫はホワイトカラー職は断念しブルーカラー職に活路を見出します
クレーン免許を取得し建築現場での職にありつくことができたとのことで、収入も安定したとのことです
本音は恵理と誠と家族3人でやり直したいと願望を語る正夫を大悟は連れ帰り恵理と話し合わせます
そして恵理に対してもDVの原因は仕事が決まらなかった正夫に冷たい視線を投げた恵理にもあったと厳しい指摘をすることで、被害妄想一辺倒になっていた恵理に正夫を理解するきっかけを与えたわけです



そして、「いろいろ」考えていた大悟はついに「ある決断」をします
店を夕方で閉めてごちそうをいっぱい作りました
まるでシンデレラの舞踏会パーティーみたいに
今日はシンデレラ推しですいません
そして皆を集めて「今日は皆のお別れ会だ」と告げます


3人とも優柔不断かつ一歩踏み出す(家族の元へ戻る)事を怖がって躊躇している状態
大悟はこのままでは3人がいつまでも煮えきらずダラダラ長島家に残り無駄な時間を浪費すると懸念しました
だから3人の「退路」を絶ったわけです
「もうこれ以上面倒を見るつもりはない」とまで3人に告げました
3人の背中を押す為にです


これでついに3人も観念したのか家族の元へ帰る決心をしました
涙を流して感謝の言葉を述べる3人
綾も感極まって涙を流してしまいます
3人と別れる寂しさもあったことでしょう
そして厳しい言葉を放った大悟もテラスに出て大泣きしていました


その夜、「勝手になんでも決めちゃって」とちょっぴりふて腐れる綾
大悟は「店を作ると勝手になんでも決めたのはキミだぜ」と大悟
2人は「3人を立ち直らせて家族の元に送り返す役目は果たした」と納得します


翌朝昇と陽子は最後のお別れ
陽子は昇のことが好きなのはもうあからさますぎるほど明らかですが、
昇は妹的に心配してるような感じで、
超・優柔不断なだけでなく超・鈍感(?)な昇は陽子の露骨過ぎる恋心もラヴ・ビームも全く気づかなかったよう
ただ今回の「恵理さんと昇さんは違うの」という陽子の発言でようやく陽子の気持ちに気づいたような描写
ただ陽子は昇好きが強すぎるのはわかるけどちょっと恵理のこと空気にしすぎじゃないかな(笑)
それと恵理と昇が会話するシーンってほとんどなかったからこの2人の会話見てみたかったんだよね・・・


とりあえず昇も陽子に気持ちを持ち始めたのかどうかは曖昧ながらも「また会おうな」と告げる
こっちは完全に惚れている陽子は小指を突き出し指切りをする甘く切ない展開へ
そこに恵理がお邪魔虫状態で登場してしまい誠がピョロ笛で冷やかすオチ


「そして、誰もいなくなった」カフェレストランあやと長島家
甘ったれで身勝手な3人の息子だが、次男の至だけは人格が描かれるほどの登場はなし
しかし最終回になっても家に帰ってきては「キミたちまだいたの」と思い切り嫌味を言い放ち、
挙句に月3万か5万の小遣いを綾に要求する甘ったれ丸出しの3男・健
妻を未だに「ちゃん」付けで呼んだりと相当「未熟な大人」のようで・・・



綾が大阪に行った際の悟の身勝手さもそうですし、
長島家の子育ては一流(?)大学を卒業させ一流(?)企業に就職させるまではさせたものの、
「人間教育」が全くできていなかったことが描かれていますね
大悟も綾も子育てが完璧でなかったことを認め、
だからこそ3人の「人生やり直し」にあれだけ親身になったんじゃないかなと思いました


そして「また、ここで立ち直らせて送り出せてあげられるような人がくればいいな」とどこまでもお人よしかつ金持ちの物好き的な発言をする大悟
綾も同調しているようでした


雪が降るクリスマスシーズン
もう昇の描くイラストもないのにメニューボードだけは残している「カフェレストランあや」
しかし冬まで綾1人で店をどうやって回していたんでしょうか
大悟が仕事を辞めて夫婦で店をやることに専念した描写はありませんでしたが、
求人の張り出しをしたりしてるところから大悟は仕事を辞めたのかもしれませんね
「おじさんシェフ」は楽しかったと邦の店でしみじみ語っていたシーンも伏線っぽかった気もしますし


長男の悟を演じる池田努の年齢(35歳)から推測しても大悟は定年まで長くない年齢設定でしょう
池田努は舘ひろしも所属する石原プロの後輩という間柄ですが
「21世紀の石原裕次郎」オーディションで注目されてスカウトされた経緯のようですね
結構いろんなドラマでちょこちょこ見かけている顔ではありました
とにかくそんな年齢設定なら早期退職しても何の不思議もありませんし現に1話でも早期退職する気でした


そして求人募集欄には「住み込み可!」としっかり強調されていました
最後はそれを見て来たという陽子や恵理のように特に傷や不幸を負っているようにも見えない幸せな人生を送っていそうな後姿しか映らない女性がやってきてドラマは終わりました

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「赤の他人の息子や娘の為にそこまでやるか?」と誰もが一度は思ったであろうドラマでしたが、
やや強引ながらも最後は綺麗にまとめましたね
典型的ハッピーエンドで終わりました


ただ陽子は姉と弟との確執、恵理は正夫のDV再発(建設業は仕事が不安定・DV癖がある男は麻薬中毒や万引き犯以上に再発性が高い)と、どちらも完全に安心とは言えない現状でしょうね
そしてどちらもかなり頑なに戻る事を拒否していました
受験の必要性があることと、昇が出ていくこともありそこまで長島家に残る必要性がなくなった陽子はともかく、
恵理に関しては土下座されて1回話し合っただけでその当日中に良く戻る決心したなと思いました


DVの加害者再発性だけでなく、DV被害者の心の傷の深さも相当なものであり、
その後長く身体にトラウマとして刻まれ、その加害者を恐怖の対象でしか見れなくなってしまうものです
つまりDV加害者をDV被害者は巨大人食いザメや凶暴な人食いクマやこの時期大量発生している殺人スズメバチと同等なほど恐怖の存在として見ているわけです
いくら最終回と言えどたった1日でたった1回話しただけでまた一緒に暮らせるようになったのはちょっと「ファンタジー」だったかもしれませんね


あとは「そして、誰もいなくなった」あとの長島家に邦が来て何て言うか見てみたかったですね
この最終回は時間延長もなく終わってしまってそこまでは描かれませんでしたが


時間延長や話数延長するかどうかの目安となる視聴率
このドラマは
1話 16.9%
2話 13.9%
3話 12.7%
4話 11.8%
5話 11.7%
6話 12.1%
7話 11.6%
8話 13.1%
9話 11.1%
10話 12.5%
最終回 11.8%

全話平均視聴率 12.6%


平均視聴率13%ですが初回の高さが引き上げた形で、
大抵の話は12%前後をウロウロする「アラウンド・トゥエルブ(twelve)」な感じでしたね
数字的には可もなく不可もなくという感じですが
昨今のドラマ低迷状況を考えれば寧ろ良い数字かもしれませんね
続編やろうとすれば充分できるドラマでしょうがどうなんでしょうかね


あの伝説の刑事ドラマ「あぶない刑事」以来の共演となった舘ひろしと浅野温子
やっぱり息がピッタリあってるんだなと二人の絆の深さを感じました
浅野温子は今年はNHKドラマ「いつか陽のあたる場所で」にもレギュラー出演し、
そしてこのドラマでは「ヒロイン」を演じ、
そして自らがヒロインを演じた伝説のドラマ「抱きしめたい!」がこの秋スペシャル放送されますね
浅野ゆう子とのあの伝説のコンビ「W浅野」が復活ということですね


風変わりなドラマでしたが面白いドラマでした
おつかれさまでした


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